エンジニアの企業格付けNo.10 キーエンス(KEYENCE)
株式会社キーエンス
①知名度・・・★★★★☆ 3.5点
キーエンスは大阪府東淀川区に本社を置く、「マーケティングに傾倒した会社」です。
各種センサー類の販売も行っています。
対企業向けのマーケティングを専門に行っているため、業務形態はBtoBとなります。
そのため一般の方にはなじみがないかと思われますが、全国に無数にある町工場に深く入り込んでいるので、同社の名前を知ってる人は意外に多くいます。
株式も東証一部に上場しており、従業員数は連結で約8,000名と大きな規模を誇ります。
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②事業内容・働きがい・・・★★★★☆ 4点
キーエンスはちょっと変わった会社です。
同社の最大の強みは先にも述べた通りマーケティングで、数多くいる営業マン全員が、まさにエンジニアなのです。すばらしい技術的センスを持っています。
どういうことかというと、営業マンは当然ですが、客先の工場へ納品や商談にひんぱんに行くのですが、その時に工場内を詳しく観察し分析します。
①「この工場で経営者や従業員が解決できずに放置されている問題は何か?」
あるいは、
②「ここの従業員がまだ気づいていない改善点は無いだろうか?」
この2点、特に後者を徹底的に分析し、潜在化したままの問題を顕在化させます。(この時まだ、お客さんには言いません)
そして、自社に帰った後にこの2点を解決できる方法を社内で検討し、なんと改善できる製品(既設ラインに後付できる製品が多い)を勝手に作ってしまうのです。
そして、後日お客さんのところに再び出向いて提案するのです。
「社長さんこんにちは、××のことで困っていませんか?実はウチには、〇〇という新製品がありますよ、これを使えば、御社の工場はすばらしいほどに改善できますよ」と、こんな具合にです。
そうすると、「あ、それちょうだい、すぐに欲しいよ!」となり、こちらの提案する値段で販売できるのです。
一社で売れれば、同業の他社でもだいたい同じ問題を抱えていたりするので、横展開で、すぐにベストセラーとなります。
これがキーエンスのすごいところです。
お客がこんなのある?という前に、こちらから考え用意して持っていくのです。だから、他社にも無く、高く売ることが出来ます。
そのため、常に改善のネタが無いか、客先の工場に頻繁に足を運び、ひそんでいる問題を探し出す必要があります。
このため、「営業」と名前がついていてもバリバリのエンジニアでなければやっていくことはできません。
機械系、電気系、制御系、いずれのエンジニアも、客先の問題を解決し毎回感謝されるので、やりがいは非常にあると言えるでしょう。
しかし、従来の営業のように、要領の良さでお客と仲良くなり、付き合いで買ってもらうといった、甘えたスタイルではやっていくことはできないでしょう。(当然ライバルも多いため、値段を安くしないと買ってくれない)
また、その改善ネタを一日何件出さなければならない、などと「目標」的なものもあるやのように聞いていますので、できない人はすぐに会社を後にすることになるでしょう。
キーエンスでは、お客にファクトリーオートメーションを提案する立場でありながら、上記のようなマーケティングに特化しているため、なんと自社では工場を持っていません。外注化しています。
「モノを作る」ことに価値は無いと考えているのです。(並の価値しかないということです)
最大の価値はその前段階の、「お客も気付いていない困っていること」をいかに発見し、改善策を見つけるか、そこにこそ最大の技術的価値があると考えているのです。
やりがいはありますが、生き残るのも大変です。
お客も気付かないような課題を常に探し続けなければならないため、外資系もびっくりなくらいハードです。
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③将来性・・・★★★★★ 5点
会社としての将来性は抜群にあるでしょう。
指標の一つとして株価を見てみます。10年間の長期チャートです、トヨタと比較してみます。


チャートを見るとトヨタよりきれいな右肩上がりのカーブを描いていることが分かります。
そもそもの事業形態が非常にいいということと、同社のは自動車業界だけでなく様々な業界をターゲットとしていますので、不景気に強いとも言えます。
④年収・・・★★★★★ 5点
キーエンス社の平均年収は2,100万円(36歳)と過激なまでに高額です。
その要因は上記で述べた、お客さんがすぐにでも欲しい!というような製品開発に特化しているため、利益率が高いということです。
キーエンスの業種は電気機器に分類されますが、平均年収が高くても1,000万程度なので、同社はやはりずば抜けて高いということになります。
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⑤総合評価・・・★★★★☆ 4点
事業内容・将来性ともに申し分ない会社です。
ただし、それは「会社」としてみた時の話で、現場の第一線で働く営業マン≒エンジニアは毎月結果を出さなければならないため、末永く会社にいられるかは別問題です。
大きな組織に溶け込み年功序列で要領よくやっていこう、あるいはこの会社にお世話になろうなどという考えの方には、はっきり言って向いていません。
むしろ将来独立を考えている野心家の方のほうが向いている会社でしょう。
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